盗めるアート展なるものがあったようで、テレビとかSNSとかで話題になっていたらしいです。ちなみに私はテレビもSNSも全然見ていないので、そういうことがあったなんて上記のエントリーを見るまでつゆほども知りませんでした。
で、ことの詳細が気になって盗めるアート展ついて他にも見たところ、結局のところは人間の醜悪性が改めてさらけ出されたイベントだった、という印象でした。
以下、個人的に思ったことを書き殴った独り言です。
運営側の配慮不足感
この企画は深夜0時からスタートして、そこから24時間開催というそうな。ぶっちゃけほとんどの人が寝て休む真夜中にイベントが開催されたら、周辺住民からしたらうるさくてかなわんでしょうね。実際、当のギャラリーは住宅地の中にありそうだなというのは周辺を撮影した写真からも読み取れます。
それに近隣住民からの通報で警察も来てたようですから、その辺りのことを考えると、周辺地域において当該イベントが開催される旨が周知、あるいは告知されていなかなったのかな?とも思えてしまいます。理解が得られていれば、少なくとも通報という事態はなかったんじゃないかなと。*1
あとはギャラリーの広さを見るに、ここまで大規模なことになるとは運営側もひょっとすると想定していなかった節があるのかなとも思いました。あるいは大規模になったとしても、「ルールとマナー」をわきまえた善良な人たちが集まるから問題はないだろう、という見通しの甘さがあったのかもですね。大変皮肉なことに、現実に押し寄せてきたのは、ルールもマナーもへったくれもなさそうな「押し入り強盗」然とした人たちみたいでしたが。*2
無料で誰でも自由に出入りできる、というのがまた無秩序を呼んでしまったのかもしれません。入場料を徴収する、事前予約制にする、などといったことをしていれば、ある程度来訪者についてのフィルタリングができてこのような事態にはならなかった…のかもしれません。
アートの価値
オークションサイトで「盗まれた」アートが転売されているのを見ると、アートの価値とは?ということを考えさせられます。
強奪とも言っていいくらいの勢いで「盗んで」いった人たちにとって、アートとは一体どれほどのものであり、どれほどの価値なのかなと。タダ(もしくはタダ同然の低価格)で手に入れられてなおかつ高く売れるぼろ儲け商材、程度の認識だったりするのでしょうか?
本人たちはどう思っているのかは知りませんが、もしそうだとしたら少し悲しいよなと。アートを通じて深いものを感じる美的感性が失われてしまっているような、どこか人間として大切な何かを捨ててしまっているような、そんな気がしてきます。
転売するときに自分で価格(≒価値)を設定するというのも、作品の価値を赤の他人が勝手に決めているという点において、随分と皮肉がきいているものでした。
最後に
「新型コロナウイルスの流行が収まっていない状況の中で人が密集するイベントを開くな」というのもありますが、そうしたことを抜きにしても、人間の醜さや浅ましさなどの闇の部分が見えて胸糞が悪くなる、ある種のヘイトチャージイベントになってしまったのだなという感想です。
また、誰でも無料で自由にとなると、良心を持った人たちがことごとく駆逐されて、邪な人たちに乗っ取られて好き放題に荒らされてしまうんだなとも思いました。それが世の摂理だというのも理解できなくはないですが、あまり釈然としないですね。
恐らくこの結果は運営側が意図したものではないと推察します。本来だったらアートを理解している人が、その意図を汲み取り理解した上で「盗んでいく」はずだったのでしょう。けれども実際は「略奪」じみたことになってしまったものですから、その点が残念でやりきれないだろうなと思います。