2月14日。言わずもがな、バレンタインデーである。
日本におけるバレンタインというのは、女性が気になる殿方にチョコレートを渡すのが習わしになっているそうだ。「そうだ」というのは、私は今まで20数年間生きていて無縁だから、バレンタインの実情なんて知らないのだ。
気になるあの子からチョコを渡されて云々とか、女子からたくさんチョコをもらって云々とか、そんな甘々な思いをしたことは一度たりともない。そもそも異性からチョコを受け取ったことなどない。いや、あるにはあるが、「みんなにお裾分け♪」ということで、そのおこぼれにあずかったような感じだった。だから何というか、個人として受け取ったという感覚はまるでなかった。
私にとっての青春時代、学生時代のバレンタインというのは、女子が内輪で友チョコを配っていたという印象しかなかった。そもそも男子にあげているような光景は見られなかった。いや、堂々とあげていたらクラスの連中にからかわれるから、誰にも気が付かれないようにしてあげるのが正解なのか。デレデレで照れ照れで甘々でラブラブなシーンを想像してしまうのは、きっと私がアニメと夢を見過ぎているせいだろう。
しかし、もらってしまったらもらってしまったで、ホワイトデーにお返しをしなければならなくなるから面倒だなとは思った。そうしないと、恐らくはもらった異性から文句をつけられてしまうだろうから。お返しを求める文化、良くない。…それでも、一度くらいはそういう甘くてほろ苦い青春を味わってみたいものだった。今更そんなことを望んでも、もう大人になってしまった以上はどうしようもない願いでしかないが。
そんな感じで、バレンタインは毎年ビターですらもなかった。何の味わいも思い出も無い、ただただ無味無臭な一日と成り果てるのみであった。今こうして振り返り、虚しかった青春を思い出している我が人生は、中々にビターな味である。