2年前(2019年)の今頃、仕事がつらくて辞めたいとずっと考えていたのを覚えている。
当時新卒で入ったその会社は食品スーパーで、私はとある店舗の精肉課で働くことになった。
就活に全く意味を見いだせなかった私は、自分らしさとか、やりたいこととか、志望動機とか、自分に自信がないネガティブな感情とか不安とかその他諸々の義務感的な思考をした結果、精神を病んだ。そんなことになるくらいには就活なんて1ミリもしたくなかったが、それでも家族の目、友人の目、あとは世間体とかのためにやらざるを得なかった。
何だかんだあってこんな私を採用してくれたのがその会社だったので、勝手ながらそこには恩義を感じた。けれども小売業の性である長時間労働・肉体労働っぷりに私は心身ともに耐えられなかった。
そういうわけで、夏の暑くなってきたくらいの時期から会社を辞めたくなり、夏の間に退職を申し出て実際に仕事を辞めた。
仕事を辞めると決めてから見る朝焼けは、何だか妙に綺麗に感じられた。
夏になると勝手に気分が上がる、季節特有の謎テンションがあったからか。それともこれから自分の背負った重荷が降ろせるという解放感ゆえだったのか。またあるいは、これからは自分の人生を自由に生きるという希望と決意を朝焼けに重ねていたのか。今となってはよく分からない。
ただ覚えているのは、退職するまでの期間に見た、何気ない夏の朝焼けの景色が綺麗だったことだ。夏の時期になると、ふとその記憶が呼び起こされて、そこから当時の仕事のことや退職のことを思い出したりする。
これが、記憶に残っているけど詳しくはもう覚えていない、そんなあの日の、今でもどうにもなっていない私のお話。
はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」